インフルエンザワクチンの感染予防率は1%
超健康革命の会ニュースレター2011年1月号より
季節性インフルエンザの予防接種はほとんど効果がないことを、最近「コクラン共同計画」の研究が明らかにしています。
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コクラン共同計画
医療に関する臨床研究結果の収集・評価・統計学的統合を行い、その正確な最新情報を迅速に世界中の人々に提供することを目指す国際プロジェクト。
非営利団体によって運営されており、ヘルスケア評価に関する情報源としては、今日世界で最も信頼されているものの一つ。
その最新情報によると、36件の研究データ(1966年から2010年までの間に行われた、対象者総計7万人余りの研究データ)の分析結果から、
「100人に予防接種をしても、一連のインフルエンザ感染を防げるのは、通常1人にすぎない」ことが明らかになりました。
すなわち予防接種の感染予防率はわずか1%でしかない、ということです。
Plain language summary (平易な言葉でのまとめ)の個所の翻訳
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健康な成人のインフルエンザ予防のためのワクチン
200種以上のウィルスがインフルエンザおよびインフルエンザに似た同様の症状(熱。頭痛、体の痛み、咳、鼻水)を引き起こす病気の原因となっている。試験室でテストしなければ、医者はこれらの2つの病気の区別をすることはできない。どちらも何日も続き、死亡や重症に至ることはまれである。インフルエンザのワクチンが効果があるかもしれないのはインフルエンザA型とB型だけであり、これはすべての広まっているウィルスのせいぜい約10%である。毎年世界保健機構はどのウィルス株が次のシーズンのワクチンに含まれるべきかを提言している。
この再調査の著者らはワクチン接種者と被接種者を比較したすべての実証試験を評価した。これらの試験を組み合わせた結果は、理想的な条件下(ワクチンが完全に流行しているウィルスの型に適合)において33人の健康な成人が1件の一連のインフルエンザの症状を回避するために予防接種される必要があったことを示した。平均的な条件(ワクチンが部分的に適合)では、100人の健康な成人が1件のインフルエンザの症状を回避するために予防接種される必要があった。ワクチンの使用は入院患者数または病欠日数には影響しなかったが、100万回の接種につき1例のギリアン・バレー症候群(麻痺に至る重大な神経学的疾患)を引き起こした。36の実証試験のうち15はワクチン製造会社から資金が出ており、4つは資金についての公表がなかった。我々の結果は楽観的な概算であるかもしれない。なぜなら企業がスポンサーとなったインフルエンザワクチンの実証試験はその製品に都合の良い結果となる傾向があり、証拠のいくつかは理想的なウィルスの流行と適合の条件で行われた試験から得られたもので、有害性の証拠のベースが限定されているからである。
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要旨
[背景]
現在様々なタイプのインフルエンザのワクチンが世界中で生産されている。健康な成人が現在対象になっているのは主に北米である。
[目的]
健康な成人についてインフルエンザに対するワクチンの効果を評価するすべての研究を特定し、抽出し、評価する。
[調査方針]
我々はCochrane Central Register of Controlled Trials (CENTRAL) (The Cochrane Library, 2010, issue 2), MEDLINE (January 1966 to June 2010) およびEMBASE (1990 to June 2010)を調査した。
[選択基準]
16歳から65歳の健康な成人に対してインフルエンザワクチンをプラセボ、あるいは介入なく自然に発生したインフルエンザと比較する無作為化比較試験(RCTs)または準無作為化比較試験。また重篤な有害作用およびまれな有害作用を評価する比較研究も含めた。
[データ収集および解析]
2名の再調査の著者が別個に調査した試験の品質および抽出データ
[主な結果]
我々は50の報告を含めた。40件(59のサブスタディ)は70,000人以上を対象とした臨床試験であった。8件は比較可能な非RCTであり、重篤な有害性を評価した。2件はデータ解析に取り入れることができない有害性の報告であった。高い流行時に流行しているウィルス株とワクチンが一致する比較的まれな環境では、ワクチンを受けない人4%に対しワクチンを受けた人は1%がインフルエンザの症状を発症した(リスク差 3%、95%信頼区間2~5%)。ワクチンがあまり一致しない場合の対応する数値は2%および1%(リスク差 1%、95%信頼区間0~3%)。これらの差が偶然による可能性は低い。予防接種は病欠日数への効果は少なめであり、入院または合併症の割合には効果がない。不活化ワクチンは局部的な有害作用を起こし100万件の予の防接種につき1,6のギラン・バレー症候群を引き起こすと推定される。有害作用の証拠のベースは限定されている。
[著者の結論]
インフルエンザワクチンはインフルエンザの症状緩和および病欠日数にはやや効果がある。肺炎などの合併症や伝播への影響があるという証拠はない。
[注意]
この再調査に含まれる36件の試験のうち15件の試験が業界によって資金提供されている(4件は資金についての公表なし)。それ以前の2007年までに発表された274のインフルエンザワクチン研究の系統的な再調査は、方法論的な質や規模に関係なく、業界により資金提供された研究が、その他の研究よりもより有名な機関紙で発表され、より多く引用されていることを見出した。公的な資金提供による研究がワクチンに有利な結論を報告する可能性は目立って少なかった。この再調査は、インフルエンザワクチンの信頼できる証拠は実質がないが、広範囲にわたる結論の操作および研究の偽りの評判の証拠があることを示した。この再調査の内容と結論はこの事実を踏まえて解釈すべきである。
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