- 重篤な肝障害(肝不全、肝炎、胆汁うっ滞、黄疸等)及び汎血球減少、無顆粒球症、血小板減少があらわれることがあり、死亡に至った例も報告されている。本剤を使用する場合には、投与前に肝機能検査及び血液検査を行い、本剤の投与中は随伴症状に注意し、定期的に肝機能検査及び血液検査を行うなど観察を十分に行うこと。(「禁忌」、「重要な基本的注意」、「副作用」の項参照)
本剤の投与開始にあたっては、添付文書を熟読すること。
テルビナフィン抗菌薬で聴覚障害の可能性
テルビナフィン抗菌薬で聴覚障害の可能性 カンジダや水虫治療に利用
読了時間:約 1分40秒 2012年07月13日 AM07:00
抗真菌薬で聴力障害を発症
オランダのファーマコビジランスセンター(薬剤監視センター)である「Lareb」は患者から寄せられた6つの事例を検討し統計的に解析することで、テルビナフィンの副作用として聴力障害が発生する可能性を明らかにした。
テルビナフィンは真菌を包む細胞膜にダメージを与えて真菌を死滅させる薬で、主に消化管、腸、口腔(こうくう)、腟、皮膚などにおこったカンジダや水虫の治療に用いられる。
以前からテルビナフィンの使用で聴覚障害が発生する事象は発生しており、WHOには83例の聴覚障害、Eudravigilance databaseには36例の聴覚喪失に関連する可能性があるという報告がされている。

推測上のメカニズム
聴覚障害や聴力低下が発症するメカニズムは明らかになっていないものの、日本でも昨年10月には副作用の項目に「聴覚障害、聴力低下」が追記されている。
今回の解析によれば、研究者はテルビナフィンが真菌を抑制する作用が蝸牛コレステロールレベルの減少や蝸牛機能の低下を引き起こすことで、聴覚障害の症状が出ていると推測している。
今回の解析詳細はDrug Safety誌のオンライン版に掲載された。
▼外部リンク
Drug Safety
http://adisonline.com/drugsafety/
日本で処方されているテルビナフィンが含まれているアリルアミン系抗真菌剤の添付文書
http://www.packageinsert.jp/search/2/テルビナフィン
警告
禁忌
- 重篤な肝障害のある患者[肝障害が増悪するおそれがある。](「副作用」の項参照)
- 汎血球減少、無顆粒球症、血小板減少等の血液障害のある患者[血液障害が増悪するおそれがある。](「副作用」の項参照)
- 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
慎重投与
- 肝障害のある患者[慢性若しくは活動性等の肝疾患を有する患者は肝障害が増悪するおそれがあるので、本剤の投与中は頻回に肝機能検査を行うなど、観察を十分に行うこと。(「副作用」の項参照)]
- 腎障害のある患者[高い血中濃度が持続するおそれがある。]
- 高齢者(「高齢者への投与」の項参照)
重要な基本的注意
- 重篤な肝障害(肝不全、肝炎、胆汁うっ滞、黄疸等)があらわれることがあり、死亡に至った例も報告されている。重篤な肝障害は主に投与開始後2カ月以内にあらわれるので、投与開始後2カ月間は月1回の肝機能検査を行うこと。また、その後も定期的に肝機能検査を行うなど観察を十分に行うこと。(「副作用」の項参照)
- 汎血球減少、無顆粒球症及び血小板減少があらわれることがあるので、定期的に血液検査(血球数算定、白血球分画等)を行うなど観察を十分に行うこと。(「副作用」の項参照)
- 皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)、中毒性表皮壊死症(Lyell症候群)、急性全身性発疹性膿疱症があらわれることがあるので、本剤の投与中は観察を十分に行うこと。(「副作用」の項参照)
- 本剤の投与は、皮膚真菌症の治療に十分な経験を持つ医師のもとで、本剤の投与が適切と判断される患者についてのみ投与すること。
- 本剤の投与にあたっては、添付文書を熟読し、本剤の副作用について患者に十分説明するとともに、異常が認められた場合には速やかに主治医に連絡するよう指示するなど注意を喚起すること。
- 眠気、めまい・ふらつき等があらわれることがあるので、高所作業、自動車の運転等危険を伴う機械を操作する際には注意させること。
相互作用
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
---|---|---|
シメチジン **フルコナゾール | 本剤の血中濃度が上昇するとの報告があるので、併用する場合には用量に注意すること。 | これらの薬剤によるチトクロームP450の抑制により本剤の代謝が遅延する。 |
リファンピシン | 本剤の血中濃度が低下するとの報告があるので、併用する場合には用量に注意すること。 | リファンピシンによる肝薬物代謝酵素の誘導により、本剤の代謝が促進される。 |
三環系抗うつ剤:イミプラミン、ノルトリプチリン、アミトリプチリン *マプロチリン デキストロメトルファン | これらの薬剤又はその活性代謝物の血中濃度が上昇することがあるので、併用する場合には用量に注意すること。 | 本剤のCYP2D6の阻害により、これらの薬剤又はその活性代謝物の代謝が遅延する。 |
*黄体・卵胞ホルモン混合製剤:経口避妊薬等 | 月経異常があらわれたとの報告があるので注意すること。 | 機序不明 |
シクロスポリン | シクロスポリンの血中濃度が低下したとの報告があるので、併用する場合にはシクロスポリンの血中濃度を参考にシクロスポリンの投与量を調節すること。特に、移植患者では拒絶反応の発現に注意すること。 | 機序不明 |
副作用
副作用等発現状況の概要
- 本剤は、副作用発現頻度が明確となる調査を実施していない。
重大な副作用
- 重篤な肝障害(肝不全、肝炎、胆汁うっ滞、黄疸等)(頻度不明)
- 発疹、皮膚そう痒感、発熱、悪心、嘔吐、食欲不振、倦怠感等の随伴症状に注意するとともに、投与開始後2カ月間は月1回の肝機能検査を行うこと。また、その後も定期的に肝機能検査を行うなど観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
- 汎血球減少、無顆粒球症、血小板減少(頻度不明)
- 咽頭炎、発熱、リンパ節腫脹、紫斑、皮下出血等の随伴症状に注意し、定期的に血液検査(血球数算定、白血球分画等)を行うなど観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
- 皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)、中毒性表皮壊死症(Lyell症候群)、急性全身性発疹性膿疱症(頻度不明)
- 観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
- 横紋筋融解症(頻度不明)
- 横紋筋融解症があらわれることがあるので、観察を十分に行い、筋肉痛、脱力感、CK(CPK)上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
- ショック、アナフィラキシー様症状(頻度不明)
- ショック、アナフィラキシー様症状があらわれることがあるので、観察を十分に行い、呼吸困難、全身潮紅、血管浮腫、蕁麻疹等の症状が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
その他の副作用
高齢者への投与
- 本剤は主として肝臓で代謝され、胆汁中及び尿中に排泄されるが、高齢者では一般に肝・腎機能が低下していることが多いため高い血中濃度が持続するおそれがあるので、副作用の発現に注意し、患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。
妊婦,産婦,授乳婦等への投与
- 妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。[妊娠中の投与に関する安全性は確立していない。ウサギの器官形成期の大量投与(200mg/kg)により母獣の摂餌量の減少、体重増加の抑制が観察されている。]
- 授乳中の婦人には投与しないこと。やむを得ず投与する場合には、授乳を中止させること。[動物試験(ラット)で乳汁中へ移行することが報告されている。]
小児童への投与
- 低出生体重児、新生児、乳児、幼児又は小児に対する安全性は確立していない(使用経験がない)。
過剰投与
- 徴候、症状
- 悪心、腹痛、めまいが報告されている。
- 処置
- 薬物除去には活性炭投与、症状により対症療法を行う。
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