子宮頸がんワクチン副反応 被害 訴え 国など相手に提訴 「ワクチンを勧めた人は自分たちのしてきたことの最低さを痛感してほしい」
産経新聞 3月31日 7時55分配信
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子宮頸がんワクチン被害訴え「私たちと向き合って」
記者会見で、全身の痛みや記憶障害などの深刻な症状を訴える高校2年の女子生徒(中央)ら =30日午後、東京都港区(早坂洋祐撮影)(写真:産経新聞)拡大写真
接種後に全身の痛みやけいれんなどの「副反応」が報告されている子宮頸(けい)がん(HPV)ワクチンについて、健康被害を訴える女性らが30日、国などを相手取り提訴に踏み切る意向を示した。副反応の原因は現在も未解明で、積極勧奨を再開することへの賛否も割れる中での訴訟となるが、女性らは「私たちと向き合って、問題の背景を明らかにしてほしい」と訴える。
「なぜ自分が被害を受けたのか。すぐに適切な医療を受けられなかったのか。国に情報が正しく届かないのか。それを知りたい」
原告に加わる予定の埼玉県ふじみ野市に住む大学1年、酒井七海(ななみ)さん(21)は30日の会見で、こう話した。
高校1年だった平成23年3月、2度目のワクチン接種をした翌日夜、入浴後に失神し、40度近い高熱が出た。その後も右手のしびれや脱力感、耳鳴り、めまい、不整脈など、これまで縁のなかった症状が次々と襲った。
県のコンクールで優勝する腕前だったピアノはしびれで弾けなくなり、記憶障害で教室の場所が分からず校内で迷うようにもなったが、「医師には『朝早く起きて散歩をしましょう』と言われたこともある」(七海さん)。「ワクチンの副反応だと思われる」と診断されるまでに接種から2年超。これまで20以上の医療機関を受診した。
それでも根本的な治療方法はない。弁護士を目指し、目標としていた大学の法学部受験はかなわず、2浪後の昨春、福祉関係の学部に進学。利き手の右手が動かしにくいため左手でノートをとる。装具がないと歩行は難しく、外出時は車椅子が手放せない。通学は母の智子さん(56)の送迎に頼らざるを得ない。
大学で障害者が住みやすいまちづくりを学ぶうち、「制度のはざまにいるような人の声を行政機関に伝えて制度化することは、目指していた弁護士の仕事とも近い。福祉関係の仕事に就きたい」と考えるようになった。
「たった何ミリかの液体で人生が変わった」という思いは残るが、今は、大学に通えていること自体がうれしいという。
一方、国と製薬会社への不信感は根強い。厚生労働省が昨年、公表した健康被害の追跡調査では「186人の症状が未回復」とされたが、七海さんは最初の症状がいったん治まったことなどから「回復」とカウントされていた。国や製薬会社に出した要望書に対する回答もない。
「国と製薬会社はもっと私たちと向き合うことで、原因究明と治療法の開発が進むはず。背景を明らかにし、同じようなことを繰り返さないでほしい」。それが、訴訟を通じた願いだという。
■「人生奪われた」
記者会見した4人は「一本のワクチンによって人生が奪われた」と、涙ながらに被害救済と真相究明を訴えた。会見場までたどり着いたものの、椅子に座っていられず退席するなど、長期にわたり健康状態が回復しない状況もうかがわれた。
奈良県に住む高校2年の女子生徒(17)は「ワクチンを打ってから今まで、いいことは一つもなかった」と涙を拭った。山梨県の高校2年、望月瑠菜さん(17)は「ワクチンを勧めた人は、自分たちのしてきたことの最低さを痛感してほしい」と語った。
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