子宮頸がんワクチン:重い副作用1112人
子宮頸がんワクチン:重い副作用1112人 研究チーム
http://mainichi.jp/select/news/20140912k0000e040227000c.html
毎日新聞【清水健二】 2014年09月12日 15時00分(最終更新 09月12日 15時16分)
◇厚労省集計の176人の6倍以上に
副作用が相次いで接種勧奨が中止されている子宮頸(けい)がんワクチンに
ついて、今年3月末までに重い副作用が確認された患者は1112人に上ると
の分析結果を、難病治療研究振興財団(坂口力理事長)の研究チームがまとめ
た。厚生労働省が集計した176人の6倍以上に上る。チームは「厚労省は症
例を狭くとらえ過ぎだ」と指摘、調査方法の見直しを求めている。13日から
長野市で始まる日本線維筋痛症学会で報告する。
子宮頸がんワクチンは2009年12月から今年3月末までに約338万人
が接種し、約2500人の副作用報告が寄せられた。厚労省の有識者検討会は、
発熱や失神など安全上の心配はないと判断した症例を除き、運動障害などの
176人を詳しい分析が必要な重い副作用と判断した。その上で、原因はワク
チンそのものではなく、注射の痛みや不安が引き起こす「心身の反応」による
と結論付けた。
一方、同財団のチームは約2500人の症例について、救急搬送の必要性や
後遺症の恐れなどを分析した結果、半数近い1112人を重い副作用と判定し
た。多かったのは中枢神経障害(けいれん、歩行障害、記憶力の低下など)▽
視力や聴力の感覚器障害▽広範囲の痛み--などで、症状が重なったり変化した
りするケースも多かった。
チームには神経内科、小児科、精神科などの臨床医約10人が参加。チーム
の医師が実際に治療した44人は、接種から重い症状が出るまでの平均期間が
約8.5カ月だった。「接種後1カ月以上してからの発症は因果関係が薄い」
とする厚労省検討会の見解とは異なる結果になった。
チームリーダーの西岡久寿樹(くすき)・東京医科大医学総合研究所長は
「一連の症状は、心身反応よりも、ワクチンに含まれる免疫補助剤に反応して脳
神経が炎症を起こしていると解釈した方が合理的だ」と指摘する。日本医学会
などに働き掛け、治療指針の策定を急ぐという。
厚労省結核感染症課の担当者は「176人は追跡調査をするが、それ以外の
症例の再調査予定はない。副作用の情報収集は報告の項目を増やすなど強化す
る」と話している。
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